会話が心のスキンシップに

妻が「夫は財布」程度に思っているのと同様に、夫だって「万が一のときは、オレの骨を拾ってもらいたい」という下心があるものです。お互い「自分がかわいい」小我な心の持ち主であっても、すべてを納得したうえであれば、心地よく円満に暮らせるのではないでしょうか。

人間は、人と触れ合うと幸せホルモンが出るそうです。更年期以降のホルモンバランスが乱れがちな年代こそ、スキンシップが効果的なはず。ですから、夫を触るなんてムリ! というのでないなら肩を揉み合うなど自然なスキンシップを増やしてみてはいかがでしょう。心もきっと和むはずです。

今さら肉体的な触れ合いなんてできないというなら、心の触れ合いくらいはできませんか。実際、「家族のために頑張る私にねぎらいの言葉さえない」と不満を抱えるのは、精神的なつながりを求めているがゆえです。

記念日さえ忘れてしまう夫は、残念ながら「覚えられない、気の利かない人」なのです。おまけに加齢とともに記憶力はどんどん低下するばかり。覚えられないことを責め、できもしないサプライズを待ち続けてイライラするのは不毛です。いっそのこと自分でカレンダーに印をつけ、「今月は結婚記念日があるわよ」と笑顔でアピールするほうが甘え上手です。その会話が心のスキンシップになり、幸せホルモンも増すでしょう。

ひと言付け加えるならば、夫にも妻への不満はあるはずです。文句も言わず夫に付き従い、夫が危険にさらされれば身を挺して守る妻が世の夫たちの理想。「何を寝ぼけたことを言っているのやら」とツッコミたくなるでしょうが、ないものねだりはどっちもどっち。お互い様だと思ったら、少しは謙虚な気持ちになれるのではないでしょうか。

前回「引きこもりの子にどう対応するか。〈愛の反対は無関心〉たとえうるさがられても、親が言い続けたことは無駄にはならない」はこちら


きれいに逝かせてください』 2022年8月5日発売 

コロナ禍において改めて注目されるようになった「看取り」。
感染拡大下の病院では、家族が面会に行くことが難しくなり、看取りのプロセスに直接立ち会うことができないという事態が起きました。
そして今、改めて看取りをめぐること、すなわち、どう看取りたいのか? どう看取られたいのか? という問いが、家庭及び医療現場で浮かびあがっています。

本書は、在宅医療の現場で「終末医療」のあり方を模索し続ける医師新城拓也氏と、作家で精神世界に詳しい田口ランディ氏が、それぞれの立場から浮かび上がった疑問をスピリチュアリストの江原啓之氏に問いかけ、令和時代における「より良い看取り方」、そして誰もが避けては通れない「より良い看取られ方」すなわち「きれいな逝き方」について考える鼎談集です。