日頃の片づけが、結果として家族の命を守ることも?(イラスト提供:イラストAC)
着なくなった服が押し込まれたクローゼット、本がぎっしり詰まった本棚、使わないお皿だらけの食器棚……。モノで溢れた家にうんざり、という読者も多いのでは。一方、5年間で6000人以上の受講生にアドバイスをしてきた人気整理収納アドバイザー・阿部静子さんは「何があるかわからない時代だからこそ、人生の折り返し地点を過ぎたら片づけたもの勝ち」と断言します。その阿部さんが50代以上に向けて、お手軽片づけ術を伝授。第6回は「片づけが家族の命を守る」です。

東日本大震災で震度6弱の地震を経験して

9月1日は防災の日です。仙台在住の私は東日本大震災で震度6弱の地震を経験しました。

オンライン講座の受講生は日本各地から参加していただいていますが、地震の際に“もの”が原因で生じる危険をご存知ない方がとても多くいらっしゃいます。

東日本大震災の時、市内でも比較的被害が大きかった地域に住んでいた私の場合、マンションの6階だったわが家では食器が半分以上割れ、趣味で集めたアンティークの食器も多数割れました。

しかし、あまりの被害に当時「惜しい」という思いはまったくなく、「命が助かったことだけでありがたい」という気持ちしかありませんでした。

その話をすると、同じ仙台に住んでいる人の場合「うちも」「そうだよね」という反応が戻ってくるのですが、受講生の多くはとても驚かれます。

それは、「地震で食器が半数以上割れた」といった状況を、テレビなど通じて見たことはあったかもしれませんが、実際に体験した人の話を直接聞く機会まではなかったからなのかもしれません。