――自分に合った『小さな仕事』は、どのように見つけたらいいのでしょう?

「大切なことは、先入観を持たず、世の中にある様々な仕事に目を向けることです。学生時代に、みなさんもアルバイトをされた経験があるのではないでしょうか。必ずしも“仕事で自己実現”するのだと構えすぎなくてもいいのだと思います。学生時代にアルバイトを選んだような感覚で視野を広げれば、自分に合った『小さな仕事』が見つかるはずです」

 

――年齢を重ねていくほど、最新のデジタルツールや、今どきの仕事のスタイルに順応していけるのかという不安もあります。

「確かに、60代、70代になれば、最先端のデジタルツールを使いこなしていくのは難しくなるかもしれません。でも、他人と上手くコミュニケーションしていく対人能力や、自分の感情をコントロールしていく対自己能力は、生涯、伸び続けていくと考えます。

それら活かしながら、65歳になったら60歳よりも『小さな仕事』を、70歳になったら、60代のときよりもさらに『小さな仕事』を選んでいく。その時々で、自分のできる範囲で社会に貢献していくことが、お金のあるなしに関わらず、“生涯現役時代”の幸せな働き方なのだと思います」

 

働き方の意識は男女でまったく異なる

老後の生活費のためだけでなく、社会全体を支えるために、60歳以降も“生涯現役”であることが望ましいと坂本さんはおっしゃいます。もちろん女性も例外ではないでしょう。ただ、現在40代以上の女性が、これまで仕事の現場で歩んできた道のりは、同世代の男性とは大きく異なります。

新卒で入社してから定年まで、順調に一本道を歩んできた男性に比べ、女性の場合は結婚や出産を機にそれまでのキャリアを断念せざるを得ないケースが大多数。役職についた人も、男性に比べればごく僅か。でも、「50代以降の女性は働く意欲は衰えていない」と河合さんは言います。