「定年を間近に控えた50代の女性たちにはまだヤル気がみなぎっています」(写真提供:河合さん)

60歳以降の仕事の見つけ方

――具体的には、どのような視点で60歳以降の仕事を見つけていけばいいのでしょう?

「これは女性に限らず、男性の場合も同様ですが、まずは自分の半径3mの世界を充実させることから始めてほしい。そもそも、仕事とは“幸せになるための手段”だと私は考えています。

どれほど仕事で良い成果を出し、高い地位を得ても、家族や職場、地域など、自分を取り囲む半径3mの人たちと良い関係が築けていないと、人は幸せを感じることができません。逆に言えば、今、仕事に限界やストレスを感じている人でも、視点を半径3mの世界に移してみると小さな光を見出すことができるのです。

たとえば、自分が住んでいるマンションの理事の役割が回ってきたら、とりあえずやってみる。そうすると、マンションの中で日常的に挨拶を交わす知り合いも増えてきます。それだけでも幸せなことですし、身近な人たちに愛をケチらず注いでいるうちに「自分にはこんなことが向いていたんだ」とか、「これからはこんな仕事をしてみよう」と、ずっと同じ仕事を続けていたのではわからなかった自分の可能性や、進むべき道が自ずと見えてくるのです。

女性は仕事をしながらママ友や町内会の人たちとの交流を深めたり、家事や介護を担ってきた女性たちは、半径3mの人間関係を築いていくことに柔軟です。なおかつ、半径3mの人たちに愛を注ぐことを惜しまない。そうやって、周りにいる人たちに愛を注ぎ続けていけば、60歳以降も、可能性はどんどん広がっていくはずです。」

 

――60代以降も働き続けていく上で、注意することはありますか?

「若い頃は、とかく“仕事”に人生の軸足を置きがちですが、50代、60代と年齢を重ねていくにつれ、“仕事”と“家庭”と“健康”という3つのボールをジャグリングのように回すことが、幸せになる最良の手段です。

現在50代以上の男性は“仕事”のボールだけ回してきた方が多いので、残りの2つのボールを意識することが大切。女性の場合は、これまでも3つのボールを回してきた方が多いわけですから、今後もそのスタイルを大切にしていけばいいのです」