〈Answer〉
何をもって「悪い」とするかは、
おのれの心の内にあります

私たちの社会の中で、「悪い」という言葉は、主に二つの意味で用いられます。まず一つは「法律に違反すること」。二つ目には「他者の期待に反するような行いをすること」です。あなたの挙げる「決まりを守らない人、風紀を乱す人」は前者にあたり、「人格的に悪い人」は後者に関わる「悪さ」と考えられます。

『半径3メートルの倫理』(著:オギリマサホ/産業編集センター)

愛されキャラは許されるのか、とあなたは問うていますが、必ずしもそうとは限りません。たとえば同じように不倫問題をスクープされた芸能人でも、強面の俳優などはあまり厳しく非難されない一方で、愛されキャラを売りにしていたタレントが大バッシングを受けるといったことが起こり得ます。

これについては、「愛されキャラ=不倫しなさそう」というわれわれの期待を裏切ったが故のバッシングであると考えられるでしょう。

ここから考えるに、私たちが誰かを「いい人、悪い人」と判断する際には、「(自分にとって都合が)いい人、悪い人」というバイアスが相当にかかっていると判断できます。あなたの言う、「自分に実害があるかないか」が「いい、悪い」に直結するわけです。

中学時代に「ワル」と呼ばれていたご友人についても、あなたには優しくしてくれていたがために「いい人」という判断を下したわけで、たとえば自分がカツアゲされたり彼氏を奪われたりされた立場ならば、「やっぱり悪い人」という判断を下したのではないでしょうか。