軍船建造に必要な木材を算出してみると

ここで、日本を襲った蒙古艦隊の陣容は、実際のところはどのような規模だったのかを検証してみましょう。

そもそも高麗が元から命じられた大型軍船300隻、小型上陸艇300隻、水汲み艇300隻、計900隻の6ヵ月以内での建造は、本当に可能だったのでしょうか。結論からいえば、当時の高麗の国力を考えたとき、この命令はいわば天文学的な数字であり、実現はとうてい不可能だったと思われます。

ここでは、とりあえず大型軍船300隻に絞って検討してみます。

【絵】CGで復元した蒙古軍船。将軍が乗る船は帆柱が白く塗装されていたという(CG制作:筆者。『日本史サイエンス』より)

これだけの軍船をつくるのに必要な木材の量について、当時の高麗が建造した軍船の設計を、現存する古船や、日本の江戸時代の千石船、古い帆船、長崎県の鷹島で発見された蒙古軍船、韓国の海洋博物館にある高麗船などの資料から推定し、外板・甲板の厚さを想定して計算してみたところ、大型軍船1隻あたりの木材使用量は、約234立方メートルと算出されました。