300隻建造は材料を調達するだけでもほとんど不可能
それを300隻ですから、合計では15万立方メートルが必要になります。これをヴィクトリーのケースにあてはめれば、約700ヘクタールの森林から伐採する必要があるということになります。
イメージとしては、東京ドーム(建築面積約4・7ヘクタール)約150個分の広さです。これほど伐採場所が広大だと、川や海から遠いところでは短時間での輸送は困難です。
川や海のそばに限られるとなると、伐採可能な対象面積が狭くなり、さらに広い森林が必要となります。
このように大型軍船に限って検討してみても、300隻を新たに建造するというのは材料を調達するだけでもほとんど不可能な数字だったのです。
※本稿は、『日本史サイエンス 蒙古襲来、秀吉の大返し、戦艦大和の謎に迫る』(講談社ブルーバックス)の一部を再編集したものです。
『日本史サイエンス 蒙古襲来、秀吉の大返し、戦艦大和の謎に迫る』(著:播田安弘/講談社ブルーバックス)
蒙古は上陸に失敗していた! 秀吉には奇想天外な戦略があった! 大和には活躍できない理由があった! 日本史の3大ミステリーに、映画『アルキメデスの大戦』で戦艦の図面をすべて描いた船舶設計のプロが挑む。リアルな歴史が、「数字」から浮かび上がる!