東京大学資料編纂所・本郷和人さんが分析する源頼朝の失敗とは?
2022年放映開始『鎌倉殿の13人』(作:三谷幸喜さん)。関東武士のパワーゲームを描いたドラマの中で、小栗旬さん演じる主人公・北条義時の初恋の人にして、源頼朝(演:大泉洋さん)最初の妻・八重役を演じるのは、先ごろ星野源との結婚が話題になったガッキーこと、新垣結衣さんだ。史実では、武士としての天下を取る源頼朝だが、直系はたった三代で滅ぶことになる。その原因には、頼朝のある種の失敗があったと東京大学史料編纂所・本郷和人氏は言いますが――

※本稿は本郷和人『「失敗」の日本史』(中公新書ラクレ)の一部を再編集したものです。

たった三代で滅んでしまった頼朝の直系

なぜ源氏は頼朝、頼家、実朝の三代で滅びてしまったのでしょうか? このことを考えるなら、頼朝本人が失敗したわけではないのですが、彼が、自分自身と将軍の歴史における役割をどのように考えていたのか、という点が焦点になってきます。

頼朝は病気で亡くなります。その跡を継いだ二代頼家は、政争の果てに将軍の地位を剥奪されて、伊豆の修善寺に押し込められる。そして暗殺されます。三代目の実朝は、兄の失脚を受けて将軍になりますが、彼もやがて鶴岡八幡宮で暗殺されてしまいました。

なぜ頼家は失脚したのか。なぜ実朝は殺されたのか。

頼家の場合は、恐らく北条氏にとって彼の存在が邪魔だった。言ってしまえば単なる北条氏の都合であり、もし違う勢力が権力を握っていれば、頼家が将軍のままで問題なかったかもしれない。

しかし実朝が殺された理由としては、「京都との距離」という武士の政権の根幹に関わる問題がありました。つまり彼は、京都と近くなり過ぎてしまったのかもしれません。