「どちらのスーツを買うべきか」を導き出す式

次に、レベル2の階層基準が、それぞれの選択肢ではどのくらい優先されているかを検討します。これを基準の「優先度」といい、重みと同様の評価のしかたで点を与えます。

『日本史サイエンス 蒙古襲来、秀吉の大返し、戦艦大和の謎に迫る』(著:播田安弘/講談社ブルーバックス)

その結果、スーツAは、品質は文句なしにすばらしいが価格もとびきり高いことがわかれば、品質:価格=9:1と見積もります。スーツAのそれぞれの優先度は、品質の優先度=0.9、価格の優先度=0.1となります。

一方のスーツBは、品質がいいとはいえないけれど、この価格ならばしかたないかという程度であれば、品質1:3価格と見積もります。スーツBのそれぞれの優先度は、品質の優先度=0.25、価格の優先度=0.75となります。

一見、少し迷いそうな状況とも思われますが、あなたはどちらのスーツを買うべきでしょうか。その答えは、次の式で導かれます。

●品質の重み×品質の優先度+価格の重み×価格の優先度

それぞれの選択肢でこれを計算し、値が大きいほうを選ぶのです。すると、スーツAは、

●0.83×0.9+0.17×0.1=0.764

スーツBは、

●0.83×0.25+0.17×0.75=0.335

となり、あなたはスーツAを選ぶべきであることがわかります。

この答えには直感でも行きつけるかもしれませんが、このように自身の意思決定のプロセスを分析することによって、重みや優先度がどう変化すると結果がどう変わるかも見当がつくようになり、行動の指針としても有効と思われます。