『FNNスーパータイム』『ニュースJAPAN』などのメインキャスターとして活躍してきた安藤優子さん。40代後半、報道するニュースの背景や歴史をもっと理解したいと、学問的知識と教養を深めるために大学院に入学。日本の政治の仕組みを勉強しているなかで、日本の女性議員の少なさに疑問を持ち、研究を始めたといいます。
研究を続ける中で見えてきた、女性を家に従属する構成員とみなしてきた自民党の女性認識。これからの若い世代に、長年続いてきた、男たちによる男たちのための政治のルールを変えていって欲しいという気持ちを込めて、この本を書き上げたといいます――(構成:篠藤ゆり)
研究を続ける中で見えてきた、女性を家に従属する構成員とみなしてきた自民党の女性認識。これからの若い世代に、長年続いてきた、男たちによる男たちのための政治のルールを変えていって欲しいという気持ちを込めて、この本を書き上げたといいます――(構成:篠藤ゆり)
男のための政治に「NO」を
2019年に大学院で博士号を取得しました。修士課程の門を叩いてから実に12年。長年取り組んだ博士論文を一般向けに加筆・修正したのがこの本です。
大学院に行こうと決めたのは、40代後半。理由は、ニュース番組のキャスターとして現場に行き、目の前で起きている事象に対しての実況中継はできても、そこに至るまでの歴史的経緯や今後どういう歴史的意味を持つのかがわからない。自分には学問的知識も教養も欠けていると自覚したからです。
修士課程で日本の政治の仕組みを勉強しているなかで、なぜ日本には女性議員がこんなに少ないのか、疑問に思うようになりました。「女性が輝く社会」などと言いながら、政策を牽引する国会議員に女性が少ない現状は、ほとんどジョーク。これは制度の問題ではなく、女性に対する社会一般の認識が問題なのではないかと考え、研究することにしたのです。
書いているうちに、私自身の来し方に対しても見直すようになりました。私が報道という男社会で仕事を始めた40年前は、「女性はコピーかお茶くみ」と言われた時代。報道の〈おじさん〉の横に座るアシスタントの私の仕事は、ただ「うなずく」だけ。
20代の頃は、おじさんたちにかわいがられるように振る舞いました。しかしその後、仕事がもらえるようになると、「オンナを売りにしているとは絶対に言わせない!」という思いから、女性性を封印し、今度はおじさんたちに「同化」。
そうやって男社会に従属してきた私は、結局、自分自身のありようを否定してきたことにほかならないのではないか。そう反省しました。