『市川海老蔵改め十三代目市川團十郎白猿襲名披露狂言八代目市川新之助初舞台狂言』の記者会見に登場した市川海老蔵、堀越勸玄親子(撮影:大河内禎)
9月18日に東京ドームで行われた巨人-DeNA戦で始球式を務めた、堀越勸玄くん(9歳)。その父である市川海老蔵さんは、この夏十三代目市川團十郎白猿襲名。勸玄くんも八代目市川新之助を襲名した。東京・歌舞伎座で7月に行われた会見で語った思いとは――。

江戸歌舞伎の大名跡が、9年ぶりに復活する。7月7日、歌舞伎座にて市川海老蔵改め十三代目市川團十郎白猿襲名披露と、八代目市川新之助の襲名・初舞台の演目発表記者会見が行われた。

今年45歳になる海老蔵さんは1985年に七代目市川新之助を、2004年に十一代目市川海老蔵を襲名。十三代目市川團十郎白猿は、本来20年5月に襲名する予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大により延期されていた。

「役者も会社も裏で支えてくれている方々も、また歌舞伎をご覧になる方々も、それぞれに苦労を重ねた2年半だったと思います。コロナ禍はまだ続いておりますが、襲名披露興行が執り行えることで、新しい光となれるよう願っています。この2年半はある意味、準備期間をいただいたと思って頑張りたい」と力強く意気込みを語った海老蔵さん。23、24年には地方巡業も。

八代目市川新之助を襲名する長男の堀越勸玄くん(9歳)も、「僕は歌舞伎が好きなので、(2年間続く興行を)楽しみにしています」と元気に挨拶し、場内を和ませた。

11・12月の興行では、『勧進帳』『助六由縁江戸桜』など、成田屋ゆかりの人気演目が並ぶ。なかでも記者たちを驚かせたのが、十二月大歌舞伎で新之助が『毛抜』の粂寺弾正を演じるということ。9歳で粂寺弾正を演じるのは成田屋の歴史の中でも最年少。台詞が多く、男女の機微を表現する役柄は難度が高そうだが、コロナ下で父が演じる『毛抜』を観て、「お父さんのようなすごい役者になりたい」と挑戦を決めた。

海老蔵さんも「大変難しいお役で、到底9歳が演じられるものではない」と前置きしつつ、「弾正を演じるうえでは大らかさが重要。『毛抜』は私の父・團十郎も大変得意としていました。隔世遺伝といいますか、息子は祖父である團十郎に似ているので合っていると思う」と息子にエールを送った。

「私も倅(せがれ)と同じように、子どもの頃から父の背中を見てきた。襲名披露興行で父が大変苦労した姿も記憶しています。苦しみ、あがき、しかし歌舞伎に向き合う自分に期待をしながら精進して、お客様に『変わった』と思っていただけるようになりたい」と襲名への覚悟を語った海老蔵さん。2人の新たな活躍に期待したい。

※『十一月吉例顔見世大歌舞伎』は11月7~28日、『十二月大歌舞伎』は12月5~26日、ともに東京・歌舞伎座にて。以後、2023・24年に全国で上演