メイクをしているのに、若々しい印象にならない……。その原因は、肌や顔立ちの変化に合わせてメイクの方法をアップデートできていないからかもしれません。ヘア&メイクアップアーティストの山本浩未さんが、老けて疲れて見える理由を解き明かし、誌上レッスンします(撮影〈人物〉=天日恵美子 ヘアメイク=山本浩未 スタイリング=岩崎聡美 文=片岡えり イラスト=青山京子)
マイナス何歳ではなく《ご機嫌》な顔に
年齢を重ねた顔は、肌の色と質感だけでなく、輪郭やパーツが緩み、影ができるなどの変化が表れます。エイジングを加速させないためにはスキンケアが有効ですが、残念ながらすべてを帳消しにすることはできません。そんな大人の肌を数分でカムフラージュできるのが、メイクアップの力です。
「私が考える《若見え顔》は、マイナス何歳に見えることではなく、ご機嫌に見える顔です。同じ年齢でも、疲れて寂しそうに見えたら《老け見え顔》。だから、シワやシミをすべて消すことがゴールではありません」と、山本浩未さんは言います。
大事なのは、多かれ少なかれ誰にも表れるエイジングサインをよく理解すること。
「肌の弾力が低下しハリがなくゴツゴツする。輪郭が緩む。頬やまぶたが下がり、縦の余白が増える。色がくすむ。凹凸による影が増える。キメが乱れて乾燥し艶を失う。目はしぼみ、唇は薄くなる……。どうでしょうか? 誰もが一つや二つは思い当たるはずです。こんなふうに年齢とともに肌が変化しているのに、若い頃と同じメイクでは、違和感がうまれるのも当然。大事なのは、弱点を目立たなくし、良い部分を強調すること。そのためには、自分の顔が昔とどう変わったのか、しっかり観察する必要があるのです」(山本さん。以下同)
ただし、気になる部分をすべてカバーしなければならないわけではありません。
「元気で若々しく見える顔とは、(1)肌になめらかなハリを感じる。(2)眉、目元、口元などパーツの輪郭がくっきりしている。(3)頬の余白が広すぎない。この3つを意識してメイクするだけで印象はぐっと変わるはずです」