定年を境に比率を大きく落とすのは事務職と専門・技術職

この結果は第一に、当該職種が高年齢者が仕事を続けやすい職種であることを意味すると考えられる。そして、第二に、異なる職種で仕事をしていた人が、定年を境に当該職種に移動してくることが多いと考えられる。

このような観点で年齢別の職種分布をみると、定年を境に比率を大きく落とすのは、事務職と専門・技術職であることがわかる。

『ほんとうの定年後 「小さな仕事」が日本社会を救う』(著:坂本貴志/講談社現代新書)

25~29歳時点では就業者のうち事務職の仕事をしている割合は19・1%であるが、歳を追うごとにその割合は少しずつ増えていき、50歳~54歳で23・2%とピークを打つ。若い頃にたとえば販売職やサービス職など現場仕事をしていた人のなかで、その一定数が事務職や管理職など管理する仕事に就くようになるからである。

そして、50代後半以降、事務職の割合は急速に低下し、70代前半時点では9・1%にまでその比率が下がる。

専門・技術職に関しては、若手から中堅にかけて緩やかにその比率を低下させていく。そして、やはり事務職と同様に定年前後で比率を大きく落とす。その結果として、70代前半時点で専門・技術職に就く人の割合は7・3%と全体のなかでは少数の職種となる。