定年を境として、いわゆる「職種」は大きく変わっている(写真提供:Photo AC)
これまで段階的に引き上げられてきた年金の支給開始年齢。2021年に行われた高年齢者雇用安定法改正では、70歳まで継続雇用の措置を講じることが企業の努力義務として追加されましたが、こうした背景のもとで定年延長や廃止をする企業も出始め、昨今では定年後の再雇用も当然のようになりつつあります。一方で、定年後の仕事の実態をデータと事例から検証を行ったのが、リクルートワークス研究所で研究員を務める坂本さんです。坂本さんいわく「年齢ごとの職種を見ていくと、実は定年前後に大きく変わっている」とのことで――。

高年齢層では特定の職種の比率が高まっていく

定年を境にしてキャリアの構造は大きく変わる。そして、定年前後で変わるのは、職場における地位や労働時間などの狭義の働き方だけではない。仕事の内容も大きく変わっていく。

ここでは、職種に焦点を当てることで、定年前と定年後で仕事の内容がどのように変わっていくのかを検証する。

総務省「国勢調査」から、年齢別の職種の分布を取ってみると、定年前後に職種が大きく変わる様子が推察される(図表1)。

【図表1】 年齢別の職種の分布(『ほんとうの定年後』より)

このデータは、一時点の年齢階層別の職種分布であり、一個人が生涯を通じて経験する職種の変化を見たものではない。しかし、ここからは高年齢層で特定の職種の比率が高まっていることがうかがい知れる。どういうことだろうか。