つまり「モノ」「時間」「お金」は切り離せない問題なのです(写真:『井田家の40年 暮らしとお金のありのまま』より)
毎月のように収納本が発売されるなど、数年にわたって続いている「片づけブーム」。これまで400軒以上の片づけを手伝い、NHK総合テレビ「あさイチ」にも出演した《片付けの達人》井田典子さんも沢山の家を訪問しながら、解決法を伝授してきました。その井田さんいわく「片づけをテーマとしたセミナーでも、ノウハウの説明だけでは終わらなくなっている」そうで――。

片づかない悩みが、お金と将来への不安に

以前はご依頼いただくセミナーのテーマは「片づけ」が中心でしたが、近頃はその話だけでは終われなくなっています。

もちろん今でも「家が片づかない」という悩みは尽きませんが、さまざまなお宅に訪問を重ねるうちに、「モノ」が片づかない→「時間」がうまく使えない→「お金と将来」が心配と、不安の連鎖が起きていることに気づいたからです。

「片づけられない」「時間がない」と悩んでいる方の多くは、まじめで自己肯定感が低く、お金がいくらあっても不安になるとおっしゃいます。つまり、「モノ」「時間」「お金」は切り離せない問題なのです。

家は川のごとし。川底の石に枝がひっかかり、ゴミがひっかかり、やがて大きなよどみになってしまうように、連鎖してしまいます。

でも逆に、ひとつのよどみを小さいうちに退治してしまえば、きっとさらさらとした流れのように、暮らしが整うのではないかと思うのです。そして1軒の家庭だけでなく、やがては社会全体が清らかな川のように循環できることを願っています。