「執行猶予は謹慎期間ではない」と知ったのも、自助グループに参加してから。僕の受けた判決、「懲役2年・執行猶予4年」とは、4年のあいだに再び犯罪を起こしたら2年の刑罰に処せられる、ということです。つまり、「4年間のチャンスを与えられた」。

第一、何もせずに文字通り謹慎していたら、収入がなくなり生活に困ってしまう。そうなると、絶望からまた薬物に頼るしかなくなります。執行猶予期間中に生活を再建することが大切だと教えられました。

幸い僕は猶予期間中に回復し、再起するのに必要な人たちと出会うことができた。自分が変わることで、悪影響を及ぼす人との関係を断ち切り、愛のある人たちと入れ替えることができたのです。人生のバランスが整い、薬物に頼るしかなかった人生から抜け出せた。

 

同志であり親友だった妻を失って気づいたこと

なぜ再び薬物に翻弄されることなく、ここまで歩んでくることができたのかと問われたら、別れた女房の記者会見での言葉と涙が心に響いているからです。外に女性を作った僕をなんとでも悪く言えばいいのに、彼女は僕のことを「同志でもあったし、親友でもあった」と言ってくれました。それをテレビで見た瞬間、大切な人を傷つけた後悔と悲しみに襲われ、二度と同じ思いをさせてはいけないと誓いました。

女房は気にもしていなかったと思うけど、僕は、「もっと頑張らなくちゃいけない」と自分で自分を追い込んでしまっていました。芸能人として東京でそれなりに成功したつもりでいたのに、世間ではヒモ扱いされ悔しかった。自分はそういう評価に甘んじられるタイプでもなかったし、むしろ女は男が守らねば! という古い価値観に縛られるような人間でした。

今思えば、人の評価なんて気にする必要はまったくなかったし、僕ら夫婦はこのスタイルを貫くと決めればよかった。大切な存在を失わなければそのことに気づけなかったことが、ただただ悔しいです。でもそれは僕の行動の結果だから、受け入れないと未来はないと思っています。

彼女とは会っていませんし、僕のことを今どう思っているかも知りませんが、僕自身は今も心の中で同志であり親友だと思っています。だからこそ今は前を向いて、懸命に歩んでいかなければ。

女房がよく言ってくれていたんですよ。「あなたはすべてに本気だから」って……。その言葉を心の支えにして、回復し続けていきたいと思っています。僕が身をもって依存症から回復できることを証明し、当事者や家族の希望の星として輝き続けたい。それが目下の夢です。


〈ギャンブル依存症問題を考える会 公式サイト〉 https://scga.jp/