なぜ中高年の転職市場はうまく機能していないのか

こうした事象が生じているのはなぜかと考えれば、まず第一に求職者側の問題があるだろう。中高年になって転職しようとする人の中には自身のこれまでの経験を過信し、名のある大企業における就業や高い役職に固執してしまう人もいる。

しかし、企業としては当然ビジネスで利益を生み出してくれる人材がほしいのである。転職先で活躍しようと思うのであれば、役職にこだわらず若い世代と混じって競争することも厭わないという姿勢も一定程度必要になるだろう。

現代は、デジタル技術がビジネスにも浸透するなか、仕事のやり方が数年で変わってしまうことも珍しくない変化の激しい時代である。

このような時代においては、過去の経験は必ずしも通用しない。むしろ新しいビジネスの妨げになる場合もある。

ビジネスの最前線で生涯活躍しようと考えるのであれば、たとえ若い頃に仕事で大きく成功し管理職の座を勝ち取った人であっても、一プレイヤーとして利益を上げ続けられるよう知識のアップデートを続け、若い人に負けないような実績を築き続ける必要がある。

第二に、企業側の受け入れ姿勢にも問題は多い。

実際に、能力が高くその企業で貢献できる高齢求職者がいるにもかかわらず、その人の年齢だけを理由に採用にしり込みしてしまう企業は世の中にたくさんある。生涯企業の最前線で活躍しようと考える人が活躍の場を見つけられるよう、公平な労働市場を構築することも日本の労働市場の大きな課題なのである。