「50代以降になると、転職による賃金増加は困難」というデータがあるそうです(写真提供:Photo AC)
これまで段階的に引き上げられてきた年金の支給開始年齢。2021年に行われた高年齢者雇用安定法改正では、70歳まで継続雇用の措置を講じることが企業の努力義務として追加されましたが、こうした背景のもとで定年延長や廃止をする企業も出始め、昨今では定年後の再雇用も当然のようになりつつあります。一方で、定年後の仕事の実態をデータと事例から検証を行ったのが、リクルートワークス研究所で研究員を務める坂本さんです。坂本さんいわく「50代以降になると、転職による賃金増加は困難」とのことですが――。

厳しい50代の転職市場、転職しても賃金は減少

定年後は、正規雇用の職を辞し、非正規やフリーランスとなって働き続ける人が多数派である。しかし、大企業で高位の役職に就いていた人などにとっては、このような小さな働き方はプライドが邪魔して前向きに受け止められないかもしれない。

定年前後を境に会社での処遇に厳しさが増すなか、自身の経験が活かせる仕事を探すため、外部労働市場に打って出る人もいる。

ここでは、長く勤めた会社を離れた後に多くの人が直面する労働市場の構造を明らかにする。