人間関係の断捨離は簡単にするべきではない?(写真提供:Photo AC)
男女同権、多様性が尊ばれる現代。しかし現実には非正規雇用や望むキャリアを積めていない女性は多く、老後資金に不安を覚える人も。昭和女子大学総長・理事長を務める坂東眞理子さんいわく「1978年に初著書で女性の権利や立場について執筆したが、40年以上経った今も、変わらず介護や家事に、あまりに多くの時間を奪われている」と言います。そして女性たちの新しい生き方を考える上では「友達を簡単に《断捨離》してはいけない」とのことで――。

人間関係の《断捨離》について

「断捨離」という言葉は日本語として定着したようです。50歳以上の女性も意識している人が多いでしょう。モノの断捨離はそれなりに意味があって、捨てるつらさを体験すると、無駄なものを買わないようになりますので、モノが有り余る中での生活の知恵として重要です。

しかし人間関係はどうでしょうか。

学校を卒業したから、結婚したから、転職したから、転居したから……今までの人間関係を整理する、という人がいます。

私は少しもったいないなと思います。せっかく出会って紡いできた人間関係を断ち捨てる必要はありません。今まで好きでもない、楽しくない人でも同僚だから、近所だからと義務感でいやいや付き合っていたという相手とつながりを持たないのはやむを得ませんが、尊敬できる人、世話になった人、助け合った人のことは忘れないようにしたいものです。

覚えているのは面倒だ、ごぶさたしていると心の負担だから切り捨てる、というのでは残念です。