「一緒にしてほしくない」から、共通点を見つけるまで

田中 :高知さんも遼さんも、最初に施設や自助グループに入られた時はどのように感じましたか?他の依存症者の方と引き合わされた時に「こんな人たちと自分は違う」というような思いはありましたか?

橋爪 :…すみません、正直なところ、ありましたね。施設に入った時に大勢の方がいらして、本当に自由奔放の人もいるし、まともな生活が出来ない人もいました。もちろん真面目な方もいらっしゃいましたが、そこにいる誰とも一緒にされたくないっていう気持ちがありました、最初は。

田中 :高知さんもありましたか?

高知 :左に同じ。(笑)

松本 :最初のうちは誰もが警戒して、むしろ一生懸命「違うところ」を探すんです。でも大抵どこかのタイミングで似ているところに気づき始め、そしてお互いの話に耳を傾ける関係を築けた方達は一歩前に進んでいくのですよね。

田中 :なるほど、私自身が依存症を治療していた時、自助グループでは「正直になれ」と言われました。けれど、自分の中にある気持ちであっても、一気には近づけないところがある。一枚一枚薄皮を剥いでいくような感じでしたね。同じ経験をしている仲間の前だと、一番安心して脱げるところがありました。

松本 :医者の前で一人パンツを脱ぐのは抵抗があっても、みんながみんなパンツを脱いでる銭湯だったら脱ぎやすい、みたいな環境ですね。

田中 :あはは!

高知 :わかりやすいですね、これから俺もその例えを使うことにします。

田中 :なるほど。そういう雰囲気の中で、回復していくということなのですね。