「ありのままの素直な心で接してくれる、先ゆく先輩たち、回復されている人たちに包まれながら、今の自分がいます」(高知さん)

回復のプロセスが見えないことにも弊害がある

田中 :先生、医学的に見たらこうやってお二人がメディアに出ること自体はどう思われますか?

松本 :同業者から疑問の声が寄せられることもあります。著名人の方が依存症を克服したからといって広報的な役割を背負い込む義務はないと私も考えています。その一方で、依存症を克服しつつある方達の回復プロセスを社会から見えないようにしていることも、弊害があるのかと僕は思っているところがありまして。回復していく姿は多くの人を勇気づけるだろうとも思いますから。

田中 :高知さんは何年か経っていく中で、取材を受けて、生い立ちや依存症になった経緯について語りながら、考え方から何から変わっていくところを包み隠さず見せてきました。高知さんの再起していく姿から力をもらった方も多くいるように感じます。

高知 :そうですね。自分自身でも、この年で成長というか、updateできてるって実感しますね。

田中 :私が出会った頃の高知さんは、喧嘩とセックスの話しかしなかったですものね(笑)。

高知 :こらこら。

田中 :今は、社会問題を自らの言葉で語られるようになりました。