菌を育てながら、その働きを妨げない

まずは、菌活の要となる腸について紹介していきましょう。

1つ目の「菌を取り入れる」は、腸内で有益な作用をもたらす善玉菌と呼ばれる乳酸菌やビフィズス菌を含む食品、サプリメントを摂ること。なるべく多くの種類の食品から取り入れることがポイントです。腸内には約500~1000種類、100兆個もの善玉菌、悪玉菌、日和見菌が共存しており、菌のバランスは一人ひとり異なります。

そのうえ、乳酸菌やビフィズス菌にもさまざまな種類があるため、1つの食品だけを摂るのでは不十分と言えるのです。私がおすすめするのは、さまざまな種類の乳酸菌が含まれている発酵食品。ぬか漬け、納豆、味噌などは、毎日食べていただきたいものです。

2つ目は、エサになる成分を与えて「菌を育てる」こと。体にいい菌をどれだけ取り入れても、エサがなければ菌は増えず、また体にとって有用な成分を生み出してくれません。腸内環境を整えるといわれるヨーグルトだけをいくら食べても、エサとなる食品を一緒に摂らなければ十分な効果が得られないのです。

菌のエサとなる主な成分は、海藻類・きのこ類・果物に含まれる「水溶性食物繊維」、ベリー類などの「ポリフェノール」、豆類・芋類に代表される「難消化性でんぷん」、バナナ・玉ねぎなどの「難消化性オリゴ糖」の4つ。これらを食事に取り入れることで、善玉菌が本来の力を発揮してくれます。

そして3つ目の「菌の邪魔をしない」は、バランスをとろうとする菌の働きを妨げないということ。具体的には、砂糖や果糖、高脂肪食、食品添加物やアルコールなどの大量摂取は控えたほうがよいでしょう。

また、良い菌も悪い菌も同時に殺してしまう抗生物質の長期使用も注意が必要。一部の胃薬や糖尿病薬など、一般的に処方されている薬も良い菌の繁殖を妨げる可能性があるため、薬は医師の指示に従い、用法用量を守ることが大切です。

とはいえ、「菌の邪魔になることはすべてやめなければ」と神経質に考えないようにしましょう。ストレスは神経系や内分泌系などを通じて腸内細菌のバランスを乱すという報告もありますから、まずは2週間、できる範囲で3ステップの内容を取り入れてみてください。お腹や肌の調子、あるいは睡眠の質が良くなったら、腸内環境が上向いているサインです。

肌、頭皮、口腔、膣の4ヵ所の菌活ポイントは後半にまとめました。「菌のバランスを崩す主な原因」と「菌を育てる&邪魔をしない対策」をそれぞれ紹介していますので、確認してください。