人に打ち明けられない不調や悩み。日々医療は進歩し、治療法が開発されていることも。大切な自身や家族の健康は、ぜひ医師に相談してみてください。女性に多い病気を中心に、症状、原因、治療、予防の4つの観点でご紹介します。第15回は、「前立腺がん」です。
(取材・文/松井宏夫〈医学ジャーナリスト〉)
この記事の目次
〈症状〉進行しなければ症状はない
〈原因〉食事の欧米化も原因の一つに 〈治療〉早期に手術できれば治療法の選択肢がある 〈予防〉家族歴のある人は必ずPSA検査を

〈症状〉進行しなければ症状はない

この疾患は女性の病気ではありません。しかし、症状がない段階での早期発見が治療のポイント。家族が知識を持つことが重要です。前立腺は膀胱の出口で尿道を包んでいるクルミ大の臓器で、精液の一部である前立腺液を作る分泌腺です。前立腺がんは早期に症状はありません。

「精液に血が混じる」「朝起きるとパンツに血がついていた」「血尿が出る」などの症状が出たときには、やや進行しています。

以上のことから、症状のないうちに受診し、検査を受けるのが大事。前立腺の疾患では、加齢で前立腺が肥大する前立腺肥大症が知られています。その症状は「尿の勢いが弱い」「残尿感がある」「夜間に何度もトイレに起きる」など。

この疾患で泌尿器科を受診し、PSA(前立腺特異抗原)検査を行って、がんが発見されることが多くあります。

*膀胱の出口で尿道を包む、クルミ大の精液を作る分泌腺
*加齢とともに肥大し、排尿障害の原因になる
*内腺に発生=前立腺肥大、外腺に発生=がん
図:前立腺の構造