この記事の目次
〈症状〉進行しなければ症状はない 〈原因〉食事の欧米化も原因の一つに
〈治療〉早期に手術できれば治療法の選択肢がある
〈予防〉家族歴のある人は必ずPSA検査を

〈治療〉早期に手術できれば治療法の選択肢がある

細胞を採って前立腺がんと診断がつくと、患者さんと十分に話し合います。まずは、「治療をしない」や「経過観察」という選択肢があるので、がんの進行度だけではなく、悪性度、年齢、体調などから総合的に考えて方針を決めます。 

治療するという選択をした場合、がんが前立腺内に留まっている早期がんであれば、「手術あるいは放射線療法」。がんが少し進行した状態であれば、「手術+放射線療法+ホルモン療法」で対応します。進行がんになると、「ホルモン療法」を中心とした治療になります。早期に発見できれば治療成績が最も良い「手術」でがんを取り切り、完治を目指すことができるのです。手術を先に選択すると、万が一再発したとしても、放射線療法、ホルモン療法の2枚の切り札を残すことができるからです。

手術の多くは、手術支援ロボットを使った体にやさしい手術です。開腹が不要で、手と違いロボットならどんな角度にも自由自在に動くので、狭い術野でも安全に行えます。放射線療法は外から放射線を当てる外照射と、前立腺の内側から照射する組織内照射の2つの方法から選択できます。

一方、ホルモン療法は、前立腺がんが男性ホルモン依存であることから、精巣からの男性ホルモンの分泌を抑える薬を注射したり、男性ホルモンの作用を抑える薬を服用したりする治療です。主治医と十分に話し合って、最善の治療を選択してください。

開腹せず、下腹部に5~12mmの穴を5、6ヵ所あけて行う。ロボットの手が自由な方向に動くので、体への負担が少なく、治療効果が高い(写真提供◎志賀先生)
図:前立腺がんのロボット手術