2022年11月13日、福岡国際センターで始まった大相撲九州場所。先場所は小結・玉鷲の優勝で幕を閉じたが、毎回優勝力士が変わったこの一年、納めとなる今場所はどんな戦いが繰り広げられるのか?『婦人公論』愛読者で相撲をこよなく愛する「しろぼしマーサ」が今場所もテレビ観戦記を綴ります。

前回「平幕バトルで幕を閉じた大相撲秋場所。最年長37歳10カ月で2回目の優勝を果たした鉄人・玉鷲。高安はまたもや優勝を逃す」はこちら

絶対王者のいない現在の大相撲

大相撲九州場所が福岡国際センターで始まった。

今年は毎場所優勝力士が違い、一年納の九州場所の優勝予想ができない。
初日の相撲を見たら、なおさら予想できなくなった。

9月場所優勝した小結・玉鷲に期待したが、7月場所優勝の前頭2枚目・逸ノ城のパワーに押し出された。5月場所優勝した横綱・照ノ富士は、10月に両膝の内視鏡手術をしてリハビリ中で休場。3月場所優勝した関脇・若隆景は優勝決定戦をした前頭筆頭・高安に押し出された。1月場所優勝して大関に昇進した御嶽海は、2場所負け越して大関を陥落し、今場所は関脇で10勝しないと大関に戻れない。初日、御嶽海は前頭2枚目・明生に完勝した。しかし、御嶽海は大関に4場所しかいられず、これまで期待を裏切られてきたので安心ができない。

絶対王者のいない現在の大相撲を嘆くよりも、この状況を楽しむことにしよう。関脇3人、小結4人という場所は48年ぶりだそうだ。

照ノ富士がいないのは寂しいが、膝の怪我と病気で大関から序二段まで落ち、それから横綱になり感動を与えてくれた。私は今、本の断捨離をしているが、『奈落の底から見上げた明日』(照ノ富士春雄著、日本写真企画発行)は、私が絶命するまで持っていることにした。照ノ富士には、この際、じっくり膝を治してから復活してほしい。