（3ページ目）混迷した1年の納め、優勝予想ができない大相撲九州場所。プレッシャーを味方にして勝つしかない正代と御嶽海「相撲こそわが人生」スー女の観戦記｜連載

自分の体力とバランス力の衰え

ところで、私は自分の体力とバランス力の決定的な衰えを知った。

私は夫の浮気を生涯我慢した亡き母の心理が分かるのではないかと思い、11月11日の映画公開初日に直木賞作家の井上荒野の小説を映画化した「あちらにいる鬼」を見に行った。作家で僧侶の瀬戸内寂聴と妻子ある作家の井上光晴の不倫を描いた作品だ。浮気の男は嘘をつきまくるのが確認できたが、私の母は浮気がもとの金銭問題に巻き込まれ、悲惨だったので、本妻の心理のヒントにはならなかった。

１３９分の映画が終わり、立ち上がろうとしたとき、よろけて通路に倒れそうになり危なかった。杖をついた私より年上と見られる女性に「大丈夫ですか？」と声をかけられた。

それで、鍛えなくてはならないと思った。私は日大の出身だが、農大の大根踊りをインターネットで見て、大相撲初日の午前中に、正代の応援もかねて踊ってみた。

家には半分に切った大根しかなく、右手に大根、左手に人参をもって上に掲げながら、足を上げる。何度も繰り返すのはキツイ、かなりキツイ。農大のパワー恐るべし。

そういえば、最近、四股を踏んでいなかった。私にはやはり地味な四股が合っている。
大根踊りで疲れて、集中力が落ちた。しかし、午後1時からのNHKBS大相撲で、大波3兄弟の長男である幕下33枚目・若隆元を見た。私は三男の関脇・若隆景と次男の前頭4枚目・若元春と共に、若隆元も幕内に上がることを願っている。若隆元の対戦相手は幕下33枚目・向中野で、「若隆元、膝曲げろ！腰落とせ！」とテレビに向かって怒鳴っていたら負けてしまったが集中力が戻ってきた。

さらに、日本相撲協会のコロナ禍でのコンプライアンス違反で休場となり、大関から陥落した幕下4枚目・朝乃山が、先場所幕下優勝した幕下三枚目・大成龍と対戦。「大関の力を見せてやれ！とっとと大関に戻れ！」とガラの悪いオッサンみたいに叫んでいたら、疲れが消えた。

私には、大相撲が必要なのだと確信した。