2022年9月11日、東京・両国国技館で始まった大相撲九月場所。先場所は「敵は新型コロナウイルスにあり」、合計13部屋が休場となってしまった。今場所は無事乗り切れるのか? 横綱・大関・小結のバトルも楽しみな今場所、朝青龍が見つけた逸材はどうなる?など見どころは満載。『婦人公論』愛読者で相撲をこよなく愛する「しろぼしマーサ」が今場所もテレビ観戦記を綴ります。

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取組編成を考える親方たちがお見事

大相撲秋場所千秋楽は、2回目の優勝をねらう関取最年長37歳10ヵ月の前頭3枚目・玉鷲(12勝2敗)と、初優勝をかける前頭4枚目・高安(11勝3敗)が直接対決する。高安が勝てば優勝決定戦となる。この二人の対戦がまだ組まれていなかったのは、取組編成を考える親方たちがお見事だったといえる。この場をかりてお礼を申し上げたい。

14日目、玉鷲は、何をするかわからない前頭筆頭・翔猿に堂々と頭からぶつかり、一気に押し倒した。翔猿は頭から土俵下に落ちて気の毒だったが、インタビューに「完敗です」と答えたそうで、潔さがこの人の魅力だ。

高安は、勝ち越しをかける関脇・豊昇龍を引き落としで破った。豊昇龍は、12日目に大関・正代が一回転して土俵上に仰向けに落ちるという首投げをやり、根性を出すと凄いので警戒が必要だと思っていた。しかし、高安は落ち着いて対応し、「高安偉い!」と私は叫んだ。高安は何度も優勝争いをして勝てないので、ぜひ初優勝して欲しい。だが、玉鷲にも関取最年長優勝を果たしてもらいたい。二人ともお互いの相撲を知っていて、実力者だから、落ち着いている方が勝つのだろう。