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【落とし穴・4】後見人に良識がなくても解任できない

東京家裁では、法定後見人が財産管理だけではなく、本人や親族等と接触を持っているかということもチェックするようになってきました。

元々面倒見がいいことで知られるある法定後見人のCは、担当するおひとり様のAさんが、行方不明になっている甥のBを探しだし、わずかばかりでも財産を遺してやりたいと考えていると聞きました。そこでCは色々と手を尽くし、大阪のあいりん地区にBさんがいることを突き止め、あいりん地区に何度も通い、ついにBさんを見つけたのだということです。

その一方で、親族に亡くなったことを知らせたのは死亡して半年が経過してからという大阪の法定後見人の実例もあります。後見人の役割はその人が亡くなるまで。お亡くなりになった時点で成年後見人としての役割は終了し、成年後見人の代理権も同時に消滅します。

ただし、収支決算である「管理計算業務」と「相続人への相続財産の引き渡し」、急に財産を処分する場合に備えての「応急処分」の3つの義務を行なう「死後事務」は行ないます。

また、火葬に関してですが、親族がご遺体の引き取りを拒否したり、親族が行方不明の場合もあるので、2016年に法改正が行なわれ、成年後見人は家庭裁判所の許可を得て、「死体の火葬又は埋葬に関する契約の締結」ができるようになりました。

ちなみに先の大阪のケースは、成年後見人は家庭裁判所に許可を求めず、行政と入入居していた施設が相談して、親族に一切相談もなく火葬したことでトラブルになっています。

極端な例ですが、後見人が違えばこんなにも違ってくるのです。法律で後見人の業務範囲の詳細が決められていないことは、改善すべきことだと考えます。

また、ひとたび法定後見人が決定すると、原則、横領など決定的な背任行為でもしないかぎり、解任することが難しくなっています。解任請求制度はありますが「何もしてくれない」「相性が合わない」「良識がない」というのは解任の理由に該当しないのです。

もちろん、多くの後見人は親身になって応対してくれています。身上配慮義務に親身になるあまり、自分の健康も害して成年後見人を辞めた弁護士もいるほど、きちんと向き合うと大変な業務です。

しかし、後見人になれば最低でも2万円からの報酬を確保できるということもあり、ある後見人をしている士業の知り合いから「自分の固定収入のために後見人をしている」という考えを聞かされ、驚いたことがあります。

財産の支出報告を裁判所に提出するだけというような後見人がいることも、残念ながら事実のようです。

成年後見人が決定したら、何をしてくれるか、後見人と本人や親族を交えて必ず話し合う必要があると考えます。