(写真提供◎photo AC)
2022年11月14日の『クローズアップ現代』では「親のお金をどう守る 認知症600万人の資産管理」が放送されます。認知症の方のために導入された制度ではあるものの、実際に使った人からは様々な意見も…。老いた親のお金や暮らしをどう守るのか。連載「暮らしのトラブルSOS」から「成年後見制度」についての回を再配信します。


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災害や事故、介護や相続など、人生には不測のトラブルや、避けられない困難が訪れます。とはいえ、気軽に聞ける弁護士や税理士が身近にいるとは限りません。専門的な知識を得ることで、冷静な判断で被害を減らしたり、計画的に備えたりすることができます。ジャーナリストとして長年さまざまな現場を取材しているファイナンシャルプランナーの鬼塚眞子さんに、暮らしに役立つ豆知識を聞きました。第20回は「成年後見制度について」です。

前回 「かさむ交通費に金銭トラブル…遠距離介護のお困りごと。防犯カメラの設置なども検討して」はこちら

「成年後見制度」とは

「成年後見制度」は、急増する認知症高齢者の生活を支え、財産を守る目的で2000年に始まった制度です。

近年、自治体・介護施設・金融・保険会社・などでは、高齢親族に成年後見制度を利用するよう勧めることも増えてきました。高齢者が保険商品に加入する場合、後見人がいるかどうかのチェック欄を設けている保険会社もありますし、中には、後見人を紹介する付帯サービスを提供している保険会社まで出てきました。

そして勧められるまま、成年後見制度を利用して「こんなはずじゃなかった」と後悔する人が増えています。成年後見人に不信感を感じて解任申し立てを裁判所に申請したり、日本弁護士連合会に「弁護士の懲戒請求」の申し立てをしたりしている実例も増えてきています。

では、なぜトラブルになるのでしょう。成年後見制度を繙きながら、紹介していきましょう。

法務省のHPによれば、「成年後見制度とは、認知症、知的障害、精神障害などによって判断能力が十分ではない方を保護するための制度」です。成年後見制度には、次のようなタイプがあります。

【表】成年後見制度のタイプについて(表を拡大)参考:法務省HP

成年後見制度は、大きく分けて裁判所が成年後見人・保佐人・補助人を選任する「法定後見人」と「任意後見制度」にわかれます。法務省はその違いを表で記しています。

【表】法定後見制度と任意後見制度の違い(表を拡大)出典:法務省

裁判所に「法定後見人」の申し立てを行えるのは、本人、配偶者、四親等内の親族、行政など。申し立ての申請を行なう時には、費用が発生します(3,400円~)。申請の際には書類の他郵便切手の同封も必要ですので、詳細は各家庭裁判所にある成年後見センターに確認してください。