「自分は40歳で死ぬと信じて生きてきた。芸能界に入ったのも、長く生きられないなら好きなことをしようと思ったから」(崑さん)

40歳までしか、生きられへん

瑤子 あなたは今が一番、元気よね。息切れもしなくなって、一緒に肩を並べて歩けるし。筋トレを続けてよかった。

 90歳になっても元気なんて、本人が一番驚いてるよ。19歳、肺手術の時、忘れもしません。病院の先生に、「君は、40歳までしか生きられへんぞ」と言われて。それだけでもショックやのに、「結婚なんてしようと思うな。君は、子どもと奥さん遺して死ぬつもりか」と。

それ以来、自分は40歳で死ぬと信じて生きてきた。芸能界に入ったのも、長く生きられないなら好きなことをしようと思ったから。あなた、そんな僕とよく結婚してくれたね。

瑤子 40歳で死ぬなんて話、してくれた?

 しましたよ!

瑤子 私、そういうのあんまり信じないのね。(笑)

 早いもので、結婚して62年。リハーサル中のスタジオに、赤い服を着たあなたが台本を手に颯爽と入ってきたのが、初めての出会いでした。「あの美人、誰や?」って男性陣がザワザワしてたなあ。本番後、「すみません」という声に振り返ったら、そのべっぴんさんが立ってるやないの。

瑤子 「弟がファンなんです。サインください」ってね。

 このチャンスを逃したらあかんと思うて、「弟さんの名前は? あなたの名前は? 住所は?」と矢継ぎ早に聞きました。もう、これだけわかったら、こっちのもんやと。

瑤子 家族みんなが「崑ちゃん」のファンだったから。私は興味がなくて、裏番組の草笛光子さんが出演していた『光子の窓』ばかり見てたわ。(笑)