乾燥と寒さにさらされて、肌のかさつきが気になる季節です。放っておくと悪化して、ひび割れ、かゆみ、湿疹などを引き起こすことも。上手に防いで冬を快適に乗り切る方法を専門家に聞きました(イラスト/小林マキ 取材・文・構成/岩田正恵《インパクト》 デザイン/米山和子《プッシュ》)
加齢と低湿度で冬の肌はカラカラ
冬場は、ちょっとお手入れを怠ると白い粉をふくなど、何かと肌のトラブルが起こりがち。その原因は乾燥です。
「そもそも人間の皮膚の表面にある角質層には、肌内部の水分が蒸発するのを防ぐバリア機能が備わっています。しかし、加齢とともにバリア機能が衰え、水分保持力が低下。また、角質層の表面を覆っている皮脂膜も水分を保持する役割を果たしているのですが、皮脂膜をつくる材料となる皮脂や汗も、年齢とともに分泌が減少します」と説明するのは、なでしこ女性診療所院長の宮田智子先生。
肌の乾燥が進むと、指の曲げ伸ばしでひび割れたり、あかぎれができたりと、全身の皮膚が外からの刺激に敏感になります。また、洗剤や化粧品などにも反応しやすくなり、かゆみや痛みを引き起こすケースも少なくないそう。
「とくに60代後半以降は加齢で肌のターンオーバーが乱れ、角質層が厚くなっていることもあり、我慢ができないほど全身の肌がかゆくなる『老人性乾皮症』や、乾燥が原因で湿疹ができる『皮脂欠乏性湿疹』に悩まされるケースが増えます。かきこわすとそこから細菌などが入って炎症を起こし、ただれの原因になるため、かゆみのもととなる乾燥を起こさないことが大切です」(宮田先生)