撮影:小林ばく
ある時はヒロインの心を射止める純情なコック見習い役、ある時は同性の年上彼氏を翻弄する小悪魔キャラを演じる。その変幻自在ぶりで、毎回視聴者を驚かせる磯村勇斗さんの原点は──(取材・文=婦人公論編集部、撮影=小林ばく)

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◆毎年が転機みたいなものです

僕が芝居にハマったのは、高校時代。地元の劇団で初めて舞台に立って、「芝居はゴールも正解もない世界。苦しいけれど、やりがいもある」と感じました。その気持ちは今も変わりません。

大きな転機は劇団「地下空港」主宰の伊藤靖朗さんの舞台に出演したことです。SFでありつつヤマトタケルも出てくるという、一言では説明できない作品。役を理解するには、靖朗さんを知ることが一番だと思って、彼が関心があるというニュースや本を読み漁って臨みました。その縁で伊藤さんと同じ事務所に入り、そこからは毎年が転機みたいなもの。さまざまな役柄に出会えて、コロシアムで次々に敵と闘っているような緊張感ですよ。

最近は映像作品が多いですが、やっぱり舞台は僕の原点です。今年夏には『プレイハウス』に出ます。僕が演じるのは歌舞伎町ナンバーワンのホスト役。初のミュージカルなのですが、僕が歌うパートはあるのかな。(笑)

今は演じることに夢中。でも、いつかは舞台の演出もやってみたい。ゼロからキャスティングして、脚本も自分で書いて……絶対楽しいじゃないですか。実は僕、クリエイティブなことが大好きなんです。