栃木から東京に通うのは、かなり大変だったでしょう。その間、姑も含めて家族の世話や家事もしているのですから。でも学校に行けば、共通の夢を持つ仲間たちがいます。仲間とランチを食べながらおしゃべりをする時間も、きっと楽しかったはず。ご近所の主婦仲間とはまた違う繫がりを感じるだろうし、おそらく若い人が多かっただろうと思うので、瑞々しいエネルギーがもらえたのでは?

今は翻訳の仕事には就いていないようですが、「学費を払い続けたけれど、まだ元が取れていない」といったネガティブ思考にいかず、どんな困難があってもがんばれたのだから自分はまだまだ何かやれる、という思いを持っていらっしゃる様子。10年間の努力で手に入れた一番大きなものは、資格よりも、その自信だと思います。

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読んで感心したのは、とても読みやすい文章を書いておられるという点です。しかも原稿用紙に手書き。清書する前に、何度も推敲を重ねたのでしょう。直した跡もほとんどなく、原稿がとても美しい。久々に手書きの原稿を見て、ちょっぴり感動すら覚えました。

推敲は、文章を整えることだけが目的ではありません。自分の文章を客観的に見ていくなかで、自分自身も客観視できる工程です。「私はあのとき、こんなふうに感じていたんだ」「今思えば、こういう意味があったのか」と、徐々に思考が整理されていく。いわば、セルフカウンセリングの意味合いもあると思います。