誰でも生きていれば、恨みや憎しみ、悲しみなど、負の感情が生じることがあるはずです。そういったネガティブなものにとらわれることは、悪いことではありません。

でも、感情が渦巻いているときは、人目に触れる場に書くことは避けたほうがよいでしょう。ひとりよがりの自分に酔った表現になってしまう可能性が高く、読みものとしての完成度が低くなるからです。少し落ち着き、感情が熟成されてから書けば、負の感情をも作品として昇華することができるようになります。

最近は、ブログやツイッターなどで自己表現する方も増えていますが、手軽な分、その時々の感情の発散になってしまい、トラブルに繫がる危険性も。

やはり、この読者ノンフィクションのように、応募の文字数に制限があること、そして人目に触れる可能性がある場で書いてみることには大きな意味があります。

文字数制限がないと、ダラダラと書き続けてしまい、何が言いたいのか要点がぼけてしまう。制限があれば、文字数に収めようと推敲を重ねる必要が出てくるため、結果、本当に伝えたいことが残り、表現が洗練されていきます。それに、人目に触れるかもしれないと考えれば、「襟を正す」ような気持ちになるのではないでしょうか。

3作品を読み、それぞれ自分自身への《卒業証書》をお書きになって次のステップに進まれたのだなと感じましたし、「書く」という行為にはそんなふうに自分を成長させる大きな力があるのだと、改めて実感しました。これからも多くの読者の方に、ぜひ書くことにチャレンジしていただければと思います。

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