子ども、孫、来客のため?

「孫や子どもが来たときに必要になるから食器を減らせない」という声もよく聞きます。

それについては、経験豊かな60代の受講生の方から、とても納得するアドバイスをいただきました。

「子ども夫婦と孫に料理をふるまう時は大皿5枚、小皿20枚あれば十分」

これはつまり、普段使いの食器に加えて、この枚数があれば間に合うということです。実際に想像してみれば、結構な大家族でない限り、これだけで事足りる気がしませんか? 加えてその機会も盆と正月などの年数回、という方も多いことでしょう。

その日のためだけに常日頃から食器棚に置いておかなくても問題ない、というわけです。

また最近は、子ども家族が家に来るときは外食をする、というご家族も増えています。自宅の食器を使って手づくりの料理を振る舞う、という機会も減りつつあるのかもしれません。

同じように「来客用食器」という存在もあるかもしれません。しかし最近では、来客用も普段使い用も、一緒に取り扱う方が増えた印象があります。

私自身、以前“コレクション”としてアンティークの食器を集めていて、それをガラスケースに飾っていたことがありました。しかしそれらも今では普段使いにしています。

きっかけは東日本大震災。住まいが仙台だったわが家は大規模半壊となり、ケースの食器も約半数が割れてしまいました。その後、用心のため、押し入れにしまっておくことにしましたが、日の目を見ない食器がかわいそうに感じました。そこで、思い切って普段使いすることに。

阿部家の食器を収納した引き出し。この限られたスペースにほぼすべてのお皿が収まっています(写真:著者)

イギリス製の洋食器ですが、和食や中華料理を盛りつけるなど、自由に楽しんでいます。それにより「ものは使ってこそ輝く」と実感しています。

またこのタイミングで、それまで日常使いしていた食器も含めていくつか手放しましたが、その後はほとんど増やすことなく、数を一定に保っています。