岩佐さんの結婚式で、母・桂子さんと(写真提供◎岩佐さん)

認知症になる人の意外な共通点は?

岩佐 私自身、ケアマネさんや家族会の皆さんに支えられて今があるので、自分も相談を受ける立場になろうと思い、社会福祉士の資格を取りました。よく相談されるのが、いつ施設に入所させたらいいのか。でも、人それぞれ生活背景も限界も違いますし、家族関係によっても変わってくる気がします。

長谷川 認知症診断で使われるMMSE(ミニメンタルステート検査)では、21点以下で認知症が疑われますが、私は15点を切ると在宅は難しくなりますよ、とご家族に説明しているんです。ただし、ご家族の〈介護力〉で大きく違ってくる。配偶者が元気なら、10点未満でも在宅介護は可能です。岩佐さんはまだ若くて体力もあるから、自宅で看ることができるんですね。

岩佐 はい。2年前に結婚した夫も、母に食事を食べさせるなどサポートしてくれるので助かっています。今朝は私が早く家を出たので、夫がデイサービスに送り出してくれました。

長谷川 ご主人はおいくつ?

岩佐 39歳です。

長谷川 もしかしたらお母さまは、若い男性に世話してもらうと嬉しいんじゃない?

岩佐 そうなんですよ。最近は笑うこともほとんどないのですが、夫が帰宅した瞬間、目を開けてニコッとしたり。「娘に見せる表情と違うんじゃない?」って(笑)。デイサービスも、若い男性の介護士さんがお迎えに来ると、嫌がらずに行ってくれます。

長谷川 訪問看護の現場でも、家族に見せないような表情をすることはよくあるんです。脳を活性化させる刺激の一つだから、いいことだと思いますよ。

岩佐 そうですね。機嫌よくいてもらうのが一番ですから。