2019年度の生命保険文化センターの調査によると、少しでも自分の老後生活に「不安感あり」とした人の割合は84.4%と実施者の大部分を占める結果に。40代や50代の方にとっては、「親の介護」も不安に思いつつ、自分の老後への不安を募らせている方が多いのでは。しかし、経済ジャーナリストの荻原博子さんは、「親の老後を乗り切る戦略が立てられれば、自分の老後についても向き合える」と言います。たとえば高額になりがちな医療費も、制度の使い方次第で負担額がグッと少なくなるようで――。
親の医療費はそんなにかからない
親が高齢になれば、体に様々な支障が出て、病院通いが増えるのも仕方のないこと。でも、医療費が心配になりませんか?
実は、高齢者の医療費は、現役世代よりもかなり負担が少なくなっています。そこでまず、「公的医療保険」の基本的な自己負担割合から見てみましょう。
健康保険や国民健康保険に加入している人の自己負担割合は1割から3割。70歳未満だと、小学校に入る前の小児を除いて3割負担となっています。
70歳から74歳までは、一般的には2割負担ですが、収入が高い人は3割負担。75歳以上は1割負担。高収入な人については3割負担ですが、表で負担割合が点線で囲まれているのは、2022年10月から、単身世帯年収で200万円以上(複数世帯は320万円以上)の人は2割負担になるという新しい制度が導入される予定の部分です。
これを見ると、3割負担の人が多く、3割負担だと、100万円の治療を受けたら30万円を自己負担しなくてはならないのかと思いますが、実際には、そんなに多く負担しなくてもいいようになっています。
なぜなら、「高額療養費制度」という、負担をより少なくする制度があるからです。この「高額療養費制度」について、具体的に見ていきましょう。