「家族合算」でより負担が軽くなる

表の中で〈多数回該当〉とあるのは、4ヶ月目からの金額。つまり、長期入院すると、「高額療養費」の上限は下がるということです。たとえば、普通のサラリーマンが月100万円かかる入院を続けていると、1~3ヶ月までは毎月約9万円(8万7430円)ですが、4ヶ月目からは上限が4万4400円に下がるということです。

ですから、100万円の治療を半年間つづけて医療費が600万円かかったとしても、本人の負担は約40万円(39万5490円)で済むということです。

さらに、複数の家族が入院したとしても、同じ保険なら「家族合算」できるので、みんなの医療費負担額を足し合わせた後に「高額療養費制度」を適用できます。

たとえば75歳以上で2人とも後期高齢者のご夫婦がいて年収が300万円くらいだったとします。1人100万円の入院治療を受けたとしても自己負担額は月に5万7600円ですみますし、それぞれが入院して100万円の治療を受け、2人で合計で200万円の治療を受けたとしても、自己負担額は5万7600円でいいということです。

 

※本稿は、『老後の心配はおやめなさい――親と自分の「生活戦略」』(新潮社)の一部を再編集したものです。

【関連記事】
今の40代・50代は公的年金をいくらもらえる? 2040年には今の約15%目減りする可能性が。定年後も暮らしていけるのか
知らないうちに「無縁墓」としてお墓が撤去されているかも!?「墓じまい」や「永代供養」など放置する前に親と管理方法の相談を
引き取り手のない「睡眠」郵便貯金、なんと3476億円。その他にもタンス預金や保険金など…親の「隠し財産」をもらい忘れない方法とは

老後の心配はおやめなさい――親と自分の「生活戦略」』(著:荻原博子/新潮社)

親の介護に必要な額が3000万円?! 準備すべき自分の老後資金は2000万?! わずかな年金だって破綻したらどうする?! 増えない貯金、揉める相続、かさむ医療費……その心配、本当にするべきなのでしょうか。不安になるのは知らないからです。知って備えて安心すれば、豊かな老後が待っています。家計の専門家が基礎の基礎から教える「老後不安のなくし方」。