日本には、現在100兆円を超えるタンス預金が眠っているといわれており――(提供:photoAC)
2019年度の生命保険文化センターの調査によると、少しでも自分の老後生活に「不安感あり」とした人の割合は84.4%と実施者の大部分を占める結果に。「親の介護」を不安に思いつつ、自分の老後への不安を募らせている40代や50代の読者も多いのでは。しかし経済ジャーナリストの荻原博子さんは「親の老後を乗り切る戦略が立てられれば、自分の老後についても向き合える」と言います。その意味で、親の持つ保険金や貯金をちゃんと受け取れるようにできているかどうかは必ず確認してほしいとのことで――。

狙われてます、高齢者のお金

今の高齢者のお金が、相続もされずに失われてしまう危険にどれだけさらされているか、見てみましょう。

「高齢社会白書」によると、2019年の「65歳以上の者のいる世帯」は2558万世帯。このうち、一人暮らしの高齢者世帯は28・8パーセントの737万世帯。「高齢者世帯」3件に1件は独居老人ということになります。

と同時に、誰にも見とられない孤独死が増え続けています。

2018年の東京都監察医務院のデータでは、東京都区部で発生した孤独死は5513件で、そのうちの約7割が65歳以上でした。特に、65歳から69歳の男性が多いのですが、最近では未婚や離婚した40代から50代の男性も増えているようです。

実は、こうした一人暮らしの高齢者の中には、不安からか、自宅に現金を置いておく人が多いようです。

2021年10月、三重県のごみ処理施設で作業員が、1万円札286枚を発見。その前の9月には東京で、回収した古紙から1万円札192枚が見つかりました。さらに20年9月にも岐阜市でごみの山の中から現金700万円が見つかっています。

これらのお金は、亡くなった方のタンス預金と見られています。