「貯金」にももらい忘れが

「郵便局」には、保険だけでなく消滅寸前の貯金も多額に眠っています。

2007年の郵政民営化前に預けた「定額郵便貯金」「定期郵便貯金」「積立郵便貯金」「住宅積立郵便貯金」「教育積立郵便貯金」などは、20年2ヶ月経つと国に没収されて、引き出すことができなくなります。つまり、放っておくと、遅くとも2027年にはこれらの貯金は消えてしまうのです。

郵政民営化前の「郵便局」は国に所属する金融機関でしたから、「旧郵便貯金法」が適用され、預け入れて満期をむかえた翌日から20年間払い戻しがないと、払い戻しの権利が消滅するとなっているからです。

ただし、満期後10年が経過する時や、満期後20年が経過する時には、届け出のあった住所に「このままでは消滅しますよ」という案内がいきます。20年が経過した案内を出してから2ヶ月してもお金を引き取りに来ない場合に、権利は「消滅」します。

このため、20年2ヶ月経つと、国庫に入るルールになっているのです。

(提供:『老後の心配はおやめなさい――親と自分の「生活戦略」』著:荻原博子/新潮社)

2007(平成19)年から2020(令和2)年までの間に「権利消滅」した「郵便貯金」はなんと、14年間に、1485億円もの貯金が、国のものになっています。

実は、「消滅」しないけれど、預けてから10年以上経過して、引き取り手がない「睡眠貯金」も「郵便局」には、大量にあります。2020(令和2)年度末だけでも、3476億円もあるのです。

この中には、将来、「消滅」してしまう貯金も、かなり含まれていると思われます。

こう書くと、心配になってきますが、預けて10年以上利用されていない口座は、「郵便局」では「睡眠貯金」、銀行では「休眠預金」と呼ばれて、払い戻しの手続きを踏めば、引き出すことが可能なものも多いです。

 

※本稿は、『老後の心配はおやめなさい――親と自分の「生活戦略」』(新潮社)の一部を再編集したものです。


老後の心配はおやめなさい――親と自分の「生活戦略」』(著:荻原博子/新潮社)

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