ビデオが擦り切れるほど何度も見た『ベルサイユのばら』

私が宝塚歌劇と初めて出会ったのは、テレビです。小学5年生のお正月休み、ぼーっとしていた所に、たまたま花組の『ベルサイユのばら』が流れだしたんです。「あ、これが噂の“宝塚のベルサイユのばら”というものかー。」と、ちょっとした興味心でVHSテープをガチャンと入れて録画スイッチを押しました。それで人生最大のカルチャーショックを受けたんです。

華やかな世界観に圧倒され、真矢みきさんが演じるオスカルが死んでしまう場面では、もう大号泣でした。まさにはまった瞬間でした。それからはビデオが擦り切れるぐらい何度も見て、直後に前橋で全国ツアーをリアルで観ることができ、そこにあったチラシで「友の会」があることを知ってすぐに入会。その後、東京宝塚劇場に祖母が私と妹を連れていってくれて、2階の上手側の席から、食い入るように舞台を見たことは、今でも覚えています。それからは、宝塚で毎日の生活が染まっていきました。

幼少期の遠山さん(昔の本社事務所前にて)

合唱団に所属し、将来は歌を歌えるような職業につきたい漠然と夢を持っていた遠山さんだが、「宝塚に入りたい」という新たな夢がどんどん膨らんでいく。中学3年の時、家族に「宝塚を受験したい」と打ち明け、第一志望の高校に合格したらバレエを習わせてもらうという約束を取り付けた。

1月に高校の合格通知をもらってからバレエを習いはじめ、付け焼刃で3月末に宝塚を受験したんです。もちろん結果は1次試験で不合格。でも、宝塚の試験がどんなものか経験することはできました。そこで、やはり私のような人が宝塚に合格するには、受験スクールに行かなければ無理だと悟ったんです。