祖父、妹と

高校3年、受験のラストチャンスに賭けた

残念ながら前橋に宝塚音楽学校の受験スクールはなく、遠山さんは、東京に通うことになる。定期券を持ち、前橋から東京まで往復5時間かけて通う日常が始まった。帰りはいつも終電。深夜の前橋駅に母親が毎日車で待っていてくれたという。

必死でレッスンして、高校1年、高校2年と毎年受験しましたが、3回連続一次試験で不合格。周囲では高校3年になると、宝塚を諦め大学に切り替えたり、大学と併願にする人が多くて…。一度も結果を出せていない私がこのまま受験を続けてよいのか悩みました。
でも、ここで諦めたら絶対後悔する、不器用な私は併願にしたらどちらもダメになると思い、ラストチャンスに賭ける決心をしました。それから1年間は、それまで以上に生活の全てを宝塚に賭け、レッスンに明け暮れました。

そして、4回目の受験で一次試験を突破。本当に興奮しました!それまでの努力が報われたと、その時点で夢のような心地でした。なので、二次試験はその場にいられることだけで嬉しくて。最終面接で「受験4回目、二次試験は初めてです!」と満面の笑顔で言ったら、試験官の先生方がみんな笑っていました。