根性と情熱を叩き込まれた日々

めでたく86期生として宝塚音楽学校に入学した遠山さん。中学3年から高校3年までが受験チャンスがある宝塚の新入生の中では、高卒が一番年上のお姉さんとなる。必然的に同期のまとめ役が回ってきた。日本全国から集まった4学年の年齢の違いがある同期。環境も考え方も異なり、誰もが明日のスターを目指してしのぎを削る。その環境の中で同期をまとめなければならない。ましてや宝塚は「連帯責任」が基本。一人のミスは全員のミスとなる。責任者の遠山さんは、立場上、叱られてばかりの日常が続くことになる。

本当にいい経験になりました。上級生から最初に「これから厳しく指導するけれど、それはあなたの成長の為だから、ついてきてね」と言われていたので、素直に頑張ることができました。カラスが白いと言われても、ハイと言うような世界。でも一生懸命頑張っていたら、3学期には「あなたが失敗したなら仕方がないね」と言ってもらえるようになって。頑張ったら、ちゃんと認めてもらえるんだ! と実感することができました。

厳しい2年間を経て、晴れて男役のタカラジェンヌ「遥海おおら」となった遠山さん。入団時は32番の成績だったという。

苦手なダンスが試験に増えたことと、好きだった演劇でも、張り切り過ぎて台本の解釈を大失敗してしまって(笑)。でも、悔しさをバネに頑張って、3年目には8番にまでなることができました。少しずつ望むような役を頂けるようになり、夢だった選抜メンバーの歌のコンサートにも選んでもらえて…楽しい日々でした。

私は「スターになりたい」という気持ちは全然なくて、No.1よりOnly1、脇を固める味のある存在になることが夢でした。舞台の上でも裏でも組を支えている組長さんのような存在が憧れで…大好きな宝塚にずっといたいと思っていました。