コロナ禍だから使わなかったものも

コロナ禍だから使わなかった(使えなかった)というものもある。

「外出するときの乳児用具一式が入るトートバックを買ったけれど、出ていく機会がなかった。同じように、おむつ専用のポーチも、一度病院に持っていって失くしてしまって以来、なくても困らなかったわね」

スタイ(ヨダレかけ)はかわいいものをたくさんいただいた。息子は、ヨダレがあまり出なかったのでそれほど出番がなかったが、こればっかりは前もってわからない。

ぬいぐるみの中では、ひもで引くオルゴールが付いたファミリア製のワンちゃんが息子のお気に入りになった。「イッツ・ア・スモールワールド」が流れるもの。

「掃除機をかけながらベビーベッドの前を通るとイヤな顔をするので、鳴らしながら私が歌ってあげると、ニコニコするようになったの」と妻。

赤ちゃんの時期を過ぎ、1歳半ばになったとき、思い出したようにこのぬいぐるみのオルゴールを聞かせてやったら、「なつかしい~」という顔で息子がはしゃいでいた。しっかり記憶に刻まれているのだなあ。

出産前から備えていて役に立ったものの1つが、「トッポンチーノ」である。赤ちゃんの体形にちょうどいいイタリア由来の楕円形の小さなおふとんのことだ。

妻いわく。「ママ以外が抱っこすると泣いちゃうという話をよく聞いていたの。ママの匂いを付けたふとんごと抱っこしてあげると泣きやむらしいよ」ということで、これは私の育児参加の必需品でもあった。

だが、それとは別に、わが息子はトッポンチーノに寝かせた状態で抱き上げると、ママだろうがパパだろうが関係なく、うっとりしている。

赤ちゃん用のベッドというのは、窒息を防止するために固い材質でできているので、ふわふわの綿でできたトッポンチーノの肌触りは格別なのだろう。

沐浴の様子(写真:著者)