狭小マンションだからこそ、育児グッズにはなかなか頭を悩ませてーー(写真:著者)
厚生労働省の人口動態統計によると、2020年の新生児のうち35歳以上の高齢出産に該当する母の割合は約29.2%に。1995年度の約9.5%から約3倍まで増えるなど、いわゆる「晩産化」が進んでいます。産経新聞社の中本裕己さんも56歳、奥さんは45歳で初めての赤ちゃんを迎え、SNSなどで話題に。その中本さん、狭小マンションだからこそ、育児グッズ選びにはなかなか頭を悩ませたそうで――。

限りある家のスペースを使いながら、どう育てていくのか

夫婦2人で寝起きができて、職場が近くて、すぐに飲みに行ければ、狭くてもいいじゃないか。そんな、落語に出てくる長屋のような生活をしていたので、文京区の根津に借りていたマンションは、40平方メートルほどの1LDK。ここに赤ちゃんと一緒に3人で住めるのだろうか。

「それだけのスペースがあれば、じゅうぶんですよ。私もご近所に住んでいます」と言ってくれた東大病院の看護師の言葉は大いに励みになった。

さてここで、限りある家のスペースを使いながら、どう育てていったのか。育児のためにレンタルしたもの、買ったもの、役に立ったもの、使わなかったもの、あればよかったなと思ったものを振り返ってみたい。

まずはベビーベッド一式。これは必須だ。

木製のベッドの周囲は転落防止のガードが付いていて、大人が世話をしやすい高さにマットレス、シーツを敷く。下はオムツやタオルなどをすぐ取り出せる棚として活用できるから、これは省スペースにもなってよかった。約1年半借りて、1万5000円程度。月額1000円の家賃で赤ちゃんの住まいが手に入った。

出産祝いでいただいたカタログギフトもかなり役に立った。コロナ禍で、夫婦揃って買い物に出にくい状況でもあり、通販で必要なものを絞ることができる。

カタログで選んだお風呂セットは、空気でふくらませる沐浴用の浴槽とやわらかいイス、プラスチック製のしっかり固定できる風呂イスの3セット。

息子をお風呂に入れるのは私の係で、今も深酒して帰った日以外は、365日中の355日ぐらいは一緒に入っている。

はじめのうちは、シャワーをかけたとたん、驚いて「ビエーン」と泣きながら、おしっこの噴水をピャーッとかけられたりもしたが、しだいにおとうさんの風呂好きDNAを受け継いだのか、ご機嫌になった。

早産で体が小さかったこともあり、背面が傾斜した小さなビニールプールのような湯舟に溺れそうになるのを、しっかり腕で支えなければならなかった。