50年近く前、感じた舞台と客席の間のバリケード
50年近く前、初めて旧なんば花月の舞台に立った時にはね、今でも忘れられへんけど、舞台と客席の間に10センチくらいの分厚いガラスのバリケードがあったんです。
もちろん、今の新型コロナ下でもあるまいし実際にはないんですよ。だけど、僕らがあまりにも緊張していたことと未熟やったことで、お客さんとの間にアクリル板どころやない、バリケードレベルの壁がありました。
笑いなんか一切起きませんし、こちらもセリフだけを追いかけて、顔からはただただ脂汗が流れ落ちる。ノドはカラからになっている。そんな状態でした。そこから50年。さすがにバリケードはなくなりました。
50年もやりましたから、歳ももう70です。いつまでできるのか。贅沢は言うたらアカンのですけど、できることなら、80歳でもやっていたいとは思います。