50年近く前、感じた舞台と客席の間のバリケード

50年近く前、初めて旧なんば花月の舞台に立った時にはね、今でも忘れられへんけど、舞台と客席の間に10センチくらいの分厚いガラスのバリケードがあったんです。

もちろん、今の新型コロナ下でもあるまいし実際にはないんですよ。だけど、僕らがあまりにも緊張していたことと未熟やったことで、お客さんとの間にアクリル板どころやない、バリケードレベルの壁がありました。

笑いなんか一切起きませんし、こちらもセリフだけを追いかけて、顔からはただただ脂汗が流れ落ちる。ノドはカラからになっている。そんな状態でした。そこから50年。さすがにバリケードはなくなりました。

50年もやりましたから、歳ももう70です。いつまでできるのか。贅沢は言うたらアカンのですけど、できることなら、80歳でもやっていたいとは思います。

人気絶頂の頃。「恋のぼんちシート」が大ヒット、全国ツアーも。漫才師として初めて、武道館で単独コンサートを行った。右は高校の同級生として出会いコンビを組んだ相方の里見まさとさん。その後、1986年に解散し、2002年に再結成した((写真提供◎吉本興業)