弱っているということも武器にして今より面白くなる

デビューの頃より今の方が芸人として先に進めているように、80歳になっても今より進んでいたい。ただやるだけでなく、今よりウケる。それを目指したいと考えています。

ま、今より体にガタは来てるでしょうけど、弱っているということも武器にして今より面白くなる。「すんませんねぇ、ここで『ワーッ』と叫んだら、血糖値が下がるらしいんですわ。だから、もう一回言わせてくだ…『ワーッ』」みたいな流れを作るとかね(笑)。
そんな味が出た自分でいたいとは思っています。これは25歳の若手にはできない漫才ですしね。

80歳になって「おさむちゃんでーす!」と叫んでたら、多分、吉本興業が気を遣って、一回一回、舞台袖に看護師さんを用意してくれてるかもしれませんね(笑)。もう、歯も悪くなって「おさむちゃん」も言えずに「ほはむちゃん」になってるかもしれませんけど、それでも「僕はちゃんと言ってるんですよ!皆さんの耳の具合が悪くなったんじゃないですか?」なんて返しをして笑いも取って。

そんな自分に会うのも、芸人という仕事の面白いところやと思います。何歳まで生きられるのか分かりませんけど、行けるところまで人生をかけて進んでいこうとは考えています。

(撮影◎中西正男)

■ぼんちおさむ

1952年12月16日生まれ。大阪府出身。本名・長瀬修一。吉本興業所属。大阪・興國高校の同級生だった里見まさとと72年にコンビ結成。80年、フジテレビ『THE MANZAI』などに出演し、「横山やすし・西川きよし」「B&B」「島田紳助・松本竜介」「西川のりお・上方よしお」「太平サブロー・シロー」らとともに漫才ブームを築く。81年、シングルレコード「恋のぼんちシート」を発売し大ヒット。同年に全国ツアーも行い、ツアー最終日には日本武道館で公演し、武道館でコンサートを開催した初の漫才師となる。当時のテレビ・ラジオのレギュラーは週14本。多忙と芸の消耗により86年にコンビ解散。その後、俳優としてテレビ朝日『はぐれ刑事純情派』などに出演。2002年に「ザ・ぼんち」を再結成。「ザ・ぼんち」としてゴールデン・アロー賞芸能新人賞・最優秀新人賞、上方漫才大賞、 文化庁芸術祭大賞など受賞多数。2023年1月28日、福岡・CONNECT劇場で「ザ・ぼんち」として古希記念公演を行う。