持ち替えたとき苦労するのではないか
でもこの「飛ぶバット」、小学生時代の軟式野球でこそ使用できるが、中学に上がって硬式野球に進む場合は金属バットとなり、使えなくなってしまう。あくまで軟式用、硬式に進みたい子にとっては「今だけバット」なのである。
よく飛ばせる高反発バットに慣れてしまうと、硬式用バットに持ち替えたとき適応するのに、想像以上に苦労するのではないか。その上ホームランが出にくい野球は急激につまらなく感じてしまい、結局は子どもの野球離れが進んでしまうことにならないだろうか。
たとえて言うなら、普通の自転車と電動自転車。初めて電チャリのペダルをひと踏みした時ビュン!と進んだあの感覚は感動だが、ひとたび乗り慣れた電チャリを降りて「ハイこの坂道をこれから普通の自転車で」と言われたら…。
野球の試合も、普通の自転車チームと電チャリチームがせーの!で一斉に坂道を駆け上がるようなもの。しかも電チャリチームの打球は速すぎて、ライナーなどが襲うと守備側の子どもにはかなり危険なのである。
せめて同じ種類の自転車を揃えて競争するべきなのでは、と試合に負けるたびクサクサしていた私…。
そもそもピッチャーと飛ぶバット対決になってしまうなら、野手の立場は!?
そんな論議を巻き起こしながらどんどん4万円超のバットが浸透していく学童野球は、我が家が買い控えしているからでなくとも、ちょっと異様だった。
そんな時、瑛介が念願だったジャイアンツジュニアの合格通知をいただいた。それはもう、世界一デカいガッツポーズ!
あまりの嬉しさになぜか「飛ぶバット」を即購入したのは、まさかの父親だった。
ジュニアトーナメントではほぼ全球団でこのバットが使われ、前年度の大会では50本近くのホームランが飛び出していたからだ。