バットに振り回された数ヵ月

ところが。

地元のチームの大会も佳境に入った頃、それまで使い慣れていた複合バットから「飛ぶバット」に持ち替えて試合に出たものの、瑛介に全くこのバットが合わなかった。子ども用では軽すぎて、力に対してボールが潰れてしまい飛ばないのだそうだ。とほほ。学童野球終盤になっても打撃が不振で上向かず…結局元の複合バットに戻してしまった。

ところが、再び。

本当に最後の大会で大事な一戦、朝の試合前の道具チェックで、4年生から使っていた複合バットの塗装が剥がれていると指摘を受け、試合での使用認可がおりなかった。

なんとか勝ち進んで翌日の試合のため、球場から直接店にバットを買いに走る。今度は「飛ぶバット」大人用を購入した。
翌日の試合はあまり手に馴染まなかったのか、ノーヒット。負けてしまった。

それでもジュニアで使えるなら…と改めて新しい「飛ぶバット」大人用を振り込んでいた矢先、なんと、今年のジュニアトーナメントで「飛ぶバット」を含む複合バットの使用が禁止されてしまったのだ。

ひぃぃぃぃ。

ここで改めて金属バットを買い直し、「こんな時期にはじめまして」なバットで学童最終戦を迎えた。

ジュニアでも試行錯誤を繰り返し、前に使っていたバットに戻したりしているうちに、とうとう最後は大会の1週間くらい前に木製バットを購入し、鬼のように振り込んで大会に臨んだ。

バットに振り回された数ヵ月。
バットは振り回すものなのに。
ん、今わたしうまいこと言った。
…もう勘弁して、なお話でした。

バットにも散々振り回されたが、あながち父親の言う「バッティングはバットの問題じゃない」って言うのは間違ってなかったのですね。いやプロに対して失礼でしたね。

何でできていようと、バットは芯にあたれば飛ぶものだ、ということを、瑛介はとてもとても苦労して学んだのかもしれない。