この記事の目次
〈症状〉長引く咳は要注意 〈原因〉タバコを吸わない人にもリスクがある
〈治療〉手術以外に新しい治療法が
〈予防〉40歳以上は胸のCT検査を

〈治療〉手術以外に新しい治療法が

多くのがんと同様、肺がんも進行度合いによって治療法が変わってきます。主な治療には「手術」「放射線療法」「化学療法」「免疫療法」などがあり、単独、もしくは組み合わせて行われます。

リンパ節に転移していないI期(早期)と、リンパ節に転移していても片側の肺内のリンパ節だけにとどまっているII期の段階では、手術が基本です。肺がんの罹患者数は年間約12~13万人で、手術は年間約3万件以上行われています。肺は右肺が上葉、中葉、下葉の3つに、左肺が上葉、下葉の2つに分かれています。手術はがんのある肺葉ごと切除する「肺葉切除術」がもっとも多く、肺の中心部にがんがある場合は片側の肺をすべて切除する「肺全摘術」、末梢にある小型の早期肺がんでリンパ節転移がなければ肺を小さく切除する「縮小手術」も考慮されます。

現在、手術の主流は胸を切り開かない《身体にやさしい》胸腔鏡手術で、7割を占めています。進行したIII期で縦隔リンパ節に複数の転移がある場合、手術は基本的に行わず、放射線療法と化学療法で対応します。そして、IV期は化学療法。これを行う場合は、どのタイプのがんか、また、患者さんのがん遺伝子を調べて最も適した薬を選択します。

今はさまざまな薬が登場しており、抗がん剤のみならず、がん細胞だけを攻撃する分子標的薬、人間の免疫をアップしてがんを叩く免疫チェックポイント阻害薬などが、単独または併用で使われています。

肺がんの治療方針